そのビール腹は内臓脂肪!?リンゴ型肥満の原因とダイエット法
ビールのおいしい季節ですが、お酒の飲み過ぎでお腹のあたりに脂肪がついて太ってしまった人は昔から「ビール腹」とからかわれていました。
このようにお腹まわりが太くなるタイプの肥満を「リンゴ型」と呼びますが、その原因とダイエットの方法を紹介します。
ウエスト90cm超えの女性は注意!リンゴ型肥満
お尻や太腿といった下半身ではなく、どちらかというとお腹を中心として太っている状態を、その体型から「リンゴ型肥満(上体肥満)」と呼びます。
健康診断で腹囲を測定し男性で85cm、女性で90cmを超えた人は注意が必要です。
標準体型
リンゴ型肥満
リンゴ型肥満のお腹、正体は内臓脂肪だった
リンゴ型肥満ではなぜお腹の周りが太くなるのでしょうか。
体脂肪は皮下脂肪と内臓脂肪に分かれます。
皮下脂肪は文字通り、皮膚のすぐ下に集まっている脂肪で、皮膚の上からつまむことができます。
一方、内臓脂肪は身体表面とは異なり内臓の周囲に存在する脂肪です。
お腹の周りに限っていえば腹筋よりも内側(腹腔内)にある脂肪のことで、腸や胃などの内臓の位置を正しく保持したり、衝撃緩和のクッションになったりしています。
この内臓脂肪が多い状態がリンゴ型肥満で「内臓脂肪型肥満」と呼ばれることも多いです。
内臓脂肪は生活習慣病を起こす!
内臓脂肪からはいろいろな生理活性物質(サイトカインと呼ばれます)が分泌されます。
これらの生理活性物質は血管を傷つけ詰まらせたり、動脈硬化を促進したりするなど、生活習慣病(糖尿病、高血圧、心臓病など)を誘発します。
お酒の飲み過ぎや運動不足で内臓脂肪型肥満が進行すると、知らず知らずのうちに心筋梗塞や脳卒中などで倒れてしまうこともあり、「メタボ」の方々はダイエットに取り組む必要があります。
幸い皮下脂肪と比べて内臓脂肪は努力によっては簡単に落とすことができます。
積極的な運動を心がけましょう。
肥満の原因は生活習慣だけではない!?
肥満の原因は生活習慣7割、遺伝3割と言われます。
実際両親が肥満だと子どもは80%が肥満、母親が肥満だと70%、父親の場合では30%が肥満という報告や、アメリカでは一卵性双生児を別々に育てた結果、遺伝的影響は小さかったとする研究報告もあります。
これらのことからも、太るのは家庭の生活環境や食習慣が大切であることが推測できます。
一方で遺伝の影響も無視できず、肥満遺伝子の研究が盛んにおこなわれています。
あなたも持ってる?「肥満遺伝子」は進化の賜物だった!
人間はその歴史の中で飢えと戦ってきました。
飢えに立ち向かうために消費エネルギーを倹約し、限られた食料を有効に使い、不必要な時にはエネルギーを蓄えられるよう体脂肪組織を発達させてきたのです。
このように、進化の中で生き抜くために倹約遺伝子は生まれました。
倹約遺伝子を受け継いでいる人は基礎代謝量が低く、食べたものを脂肪として蓄積しやすい体質を持っています。
そして食事は十分に満たされる時代になり、倹約遺伝子は肥満の一因として考えられるようになりました。
これが肥満遺伝子です。
肥満遺伝子は現在数十種類見つかっており、代表的なもののいくつかは、市販されている肥満遺伝子検査キットでわかります。
自分がどのようなタイプの肥満遺伝子を持っているか、簡単に調べられるようになりました。
肥満遺伝子は内臓脂肪を蓄えやすくしてしまう
リンゴ型肥満の原因と考えられる遺伝子の一つに「β3AR遺伝子」があります。
この遺伝子はもともと肥満を抑制する遺伝子なのですが、遺伝子がコピーされる過程で変異が起こることがあり(「多型」といいます)、変異したものは肥満遺伝子の一つになります。
この肥満遺伝子を受け継いでいる人は、カロリー消費が少なく内臓脂肪を蓄えやすい体質になります。
エネルギー源の糖質を筋肉に取り込むインスリンの作用が働きにくく、基礎代謝量は正常な人と比べると1日当たり約200kcalも低くなります。
これは30分ぐらいのジョギングに相当し無視できない値です。
余ったエネルギーは皮下脂肪よりも内臓脂肪として蓄積されやすく、ウエストあたりから太る傾向にあります。
この肥満遺伝子すなわち「β3AR遺伝子」の多型は日本人の約3分の1が持っています。
大量の甘いものや白いご飯はリンゴ型肥満を加速させる!
リンゴ型肥満の大敵は糖質の大量摂取です。
先ほど説明したように、肥満遺伝子の影響で糖質を筋肉に取り込んでエネルギーとして消費することが苦手だからです。
糖質、例えば甘いもの、白米の食べ過ぎには十分注意しましょう。
主食は白いご飯の代わりに玄米、うどんの代わりにそばなどと置き換えることができます。
またお酒好きの人はアルコールの絶対量を抑えるとともにビールや日本酒といった醸造酒を控え、ウイスキーや焼酎などの糖質を含まない蒸留酒に切り替えるとよいでしょう。
流行の糖質制限ダイエットを利用するのもいい方法ですが、糖質を全く摂らないのは逆にタンパク質代謝に悪影響があり、筋量低下につながりますので要注意です。
有酸素運動と腹筋運動でリンゴ型肥満を撃退!
内臓脂肪がつきやすいリンゴ型肥満ですが、この内臓脂肪は有酸素運動によって比較的簡単に落とせるのも大きな特徴です。
運動不足の人はまずウォーキングから、慣れてきたらジョギングをお勧めします。
また水泳やサイクリングも内臓脂肪の減少には大きな効果が期待できます。
また腹筋運動もおすすめです。
部分やせは難しいというのがこれまでの考えでしたが、近年、よく使う筋肉周辺の脂肪が消費されやすいという研究結果も報告されています。
つまり腹筋を鍛えることで腹腔内部の内臓脂肪がやや多めに消費されることが期待できるのです。
できれば週に2~3回は取り組みたいですね。
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