有酸素運動・無酸素運動の違いを知って、効果的にダイエットしよう
健康の維持増進やシェイプアップを考えた場合、やはり運動することが一番の近道です。
ところで運動によって効果を得るためには、適切な運動の強さを選ばなくてはなりません。運動の強さとそのエネルギー源について理解を深めておきましょう。
筋肉のエネルギー源「アデノシン三リン酸」
運動のエネルギー源は何かと聞かれれば、糖質や脂質といった栄養素を答えるのが普通だと思います。
これはこれで正しいのですが、もっと厳密に言えばATP(アデノシン三リン酸)という物質が筋肉の動きの直接的なエネルギー源になっています。
人間はATPのおかげで動くことができるのです。糖質や脂質はこのATPを合成するための栄養素です。
アデノシン三リン酸は「ゆっくり」と「高速」2つの工場で作られる
ATP(アデノシン三リン酸)をつくるためのエネルギーは糖質や脂質を(非常時にはたんぱく質も)分解して得られます。
からだの中には糖質などの栄養素を使ったATP生産工場があるわけです。
この工場はざっくりと2種類に分かれます。「酸素を使って」「ゆっくり」とATPをつくる工場を「有酸素系」と呼びます。
もう一つ「酸素を使わない」で「高速で」ATPをつくる工場があり、これはさらに2種類に分かれ、それぞれ「解糖系」「ATP-CP系」と呼びます。
ちょっと前までは「解糖系」と「ATP-CP系」の工場を「無酸素系」と呼んでいたのですが、運動中、体内が無酸素状態になるわけではないので、誤解を避けるために「無酸素系」は使われなくなってきました。
しかしここでは便宜上「解糖系」と「ATP-CP系」を合わせて「無酸素系」と呼ぶことにしたいと思います。
「有酸素運動」と「無酸素運動」はアデノシン三リン酸の作られ方の違い
ATP(アデノシン三リン酸)の体内での貯蔵量はあまり多くはありません。
運動してATPがなくなってしまうと、私たちの身体は電池の切れたロボットのように止まってしまいます。
これではまずいので運動中にATPをつくって補充してやる必要があります。
ウォーキングのように運動の強さが低い運動ではATPはゆっくりと使われていきます。
ですから「ゆっくり」と補充してやればよいので「有酸素系」でATPを補充します。一方50m走や100m走などの激しい運動では、一気にATPが消費されてしまいます。
したがって「高速で」補充しなければならず「無酸素系」によってATPがつくられます。
「有酸素系」によってATPが補充されるような運動のことを「有酸素運動」と言います。
一方「無酸素系」によってATPが補充されるような運動を「無酸素運動」と呼びたいのですが、先ほどと同様やはり誤解を避けるために「無酸素運動」とは呼ばないのが現在の流れです。
「激しい運動」とか「強い運動」と名付けても良いのですが、「有酸素運動」との対比のためにも、ここでは便宜的に「無酸素運動」を使うことにします。
ゆっくりとした強度の低い運動が有酸素運動
有酸素系では、糖質や脂質を使ってATP(アデノシン三リン酸)をつくるために「酸素」が必要です。
ですから呼吸ができるような運動強度じゃないと有酸素運動にならないわけです。
ゆっくりとした強度の低い運動が有酸素運動です。
また有酸素運動は糖質や脂質がある限り運動を続けることができます。マラソンランナーが2時間以上も走ることができるのは有酸素運動だからです。
ただし体力のない一般の人たちは、マラソンランナーと同じスピードで走り続けることはできません。
運動強度が強すぎて無酸素運動になってしまうからです。
同じ運動強度でも体力によって有酸素運動になったり、無酸素運動になったりするわけです。
無酸素運動は長く続けられないのが特徴
一方無酸素運動はちょっと複雑です。全力運動のときには「ATP-CP系」が、それよりもちょっと弱めのときには「解糖系」が働きます。
それぞれ使われるエネルギー源が異なり前者はクレアチンリン酸、後者は糖質です。
これらの運動では脂質が使われないことがポイントで、脂肪を減らしたければウォーキングやジョギングといった有酸素運動でないといけません。
無酸素運動は1分以内程度と長くは続けられないのが特徴です。
長い階段を全力で駆け上がろうとして途中で息が上がり、動けなくなってしまったことはありませんか?
これは激しい運動によって急激にATP(アデノシン三リン酸)を消耗し、「無酸素系」がATPを補充しようとしたのですが、それでは間に合わず、からだが自然とブレーキをかけたのです。
昔は疲労物質の乳酸が貯まるからだと説明されていましたが、乳酸は疲労物質ではなく逆にエネルギー源だということが最近の研究でわかっています。
乳酸を悪者扱いしないようにしましょう。
呼吸が苦しくなり始めるあたりが有酸素運動と無酸素運動の境界
自動車では最初はギアをローに入れ、スピードを上げるにしたがってギアをセカンド、サードと操作します。オートマチック車では自動的にギアチェンジしてくれます。
人間のからだはこのオートマチック車と似ていて、運動の強さにより有酸素系から無酸素系へと自然にギアチェンジをしてくれます。ではその境界は?というと呼吸が苦しくなり始めるあたりです。
専門的にはこの境界は、使われる筋肉が遅筋線維から速筋線維へと変化するところで、乳酸性作業閾値(LTと略します)と言います。
マラソンを走る人たちにはとても大切な数値で、LTよりも速く走ると無酸素運動になり長続きしません。
一方LT以下の速さで走れば、糖質や脂質が無くならない限り運動が続けられる、つまり限界に近いスピードということになるからです。
得たい効果で有酸素運動と無酸素運動を使い分ける
これまで健康のためには有酸素運動がよいとされてきましたが、最近の研究で無酸素運動、特に中~高負荷の筋力トレーニングも重要な役割を果たすことがわかってきました。
これら二種類の運動を目的に応じて上手に使い分けることが大切です。
例えばダイエットをしたい場合、直接脂肪を燃焼させるためには有酸素運動が有効です。
しかし、基礎代謝を上げることや脂肪を分解するホルモンを分泌させ、脂肪を燃焼しやすくするためには筋力トレーニングの方に軍配が上がります。
また有酸素運動をする前に筋力トレーニングを実施すると、脂肪の燃焼効率がグンとアップし、シェイプアップに大変有効であることも証明されています。
- 株式会社ケッズトレーナー
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株式会社ケッズトレーナーは、一般の方々や多くのスポーツ選手の皆さんに、種々の障害の緩和や機能改善・向上を目的として、様々な角度から施術を実施しています。一人ひとりの患者様と寄り添い、スポーツマッサージを通して安心・笑顔・元気をモットーに日本全国で活躍中です。
http://www.ks-trainer.co.jp/
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