

ブラボーランニング(10)
LSDはスタミナ(有酸素能力)アップに効果的
目次
ダイエットから記録更新まで!
「LSD」というトレーニングを聞いたことありますか?
ランニング時に酸素をたくさん使う能力、つまりスタミナをアップするための方法のひとつで、初心者にもベテランランナーにも有効なトレーニングです。
今回はLSDの効果的な練習方法をとりあげます。
LSDのポイントは長距離・ゆっくり・長時間
「LSD」とは「Long(ロング) Slow(スロー) Distance(ディスタンス)」の頭文字をとったもので、「長距離をゆっくりと長時間ランニングする」トレーニング方法のことです。
ゆっくりしたスピードで距離と時間に慣れる、これがLSDの本質です。
えっ、ゆっくり走って効果があるの?と思われるかもしれませんが、一定のスローペースを維持しながら長時間、長距離を走ることでスタミナがアップします。
トップランナーだけでなく、初心者にとっても重要なトレーニングです。
LSDでスタミナがアップする仕組み
スタミナは「有酸素能力」とも呼ばれ、酸素を単位時間に大量に使えるほどスタミナが高いと評価されます。
酸素を使える能力は、酸素を取り込む能力(肺など)、運ぶ能力(心臓、血管、血液など)、消費する能力(筋肉など)に分けて考えることができます。
LSDトレーニングによってスタミナは確実にアップするのですが、その仕組みは次のように考えられています。
心臓から運ばれる酸素の量が増える
まず心臓が鍛えられます。1回当たりの心臓から送り出される血液の量が増え、その結果運ばれる酸素の量が増えます。
ランのエネルギーをつくりだすためには、酸素は欠かせません。
運ばれる酸素の量が増えれば、それだけランで使えるエネルギーが増えることになり、スタミナアップにつながります。
毛細血管が増え筋肉の隅々まで酸素がとどく
酸素をからだの隅々にまで運ぶためには、大きな血管だけでなく細かい毛細血管が、どれだけ筋肉の中に張り巡らされているかがカギになります。
LSDトレーニングによって毛細血管が増え、隅々にまで効率よく酸素が運ばれるようになります。
筋肉が酸素を使いやすい環境が整うわけです。
他にも血液中や筋肉内の酸素を運ぶ物質(ヘモグロビンやミオグロビン)が増えたり、肺の能力が向上して酸素をより効率よく取り込めるようになったりするなど、スタミナアップのための様々な要因が改善されます。
初心者にとってのLSDのメリット
まだランを始めたばかりの初心者には、LSDはどんな効果があるのでしょうか。
1. 長時間、長距離を走る体力がつく
まず第一に体力面です。
上で説明したようにLSDによってスタミナがアップします。これまではあまり走れなかったランナーでも、より長時間、長距離が走れるスタミナが身につきます。
2. 長時間、長距離走ることで足腰が丈夫になる
第二にからだの強靭さがアップします。
長距離を走るには、それなりに頑丈な足腰が必要になりますが、LSDを実施することで長時間刺激を受け続けることになり、筋肉や骨、靭帯が丈夫になります。簡単には故障しないからだになるわけです。
3. 長時間、長距離走ることで自信がつく
第三にメンタル面です。
LSDによってこれまで走ったことがないような距離を経験すると、自信がつきます。
10kmも走れるようになった、とか、1時間も走れた、などちょっとした感動が積み重なると、いつのまにか大きな自信につながり、レースに挑戦する気も湧いてきます。

LSDをこなしているうちに自信が喜びに変わり、同時に筋肉が引き締まり、骨や靭帯が鍛えられ、無駄な脂肪が減少、ポッコリお腹もへこんできて、美しいボディに変わっていくでしょう。
このぐらいになると、もう初心者ランナーは卒業です。
中上級ランナーにも有効なLSD
中級者からサブ3を目指す上級者も、LSDは有効なトレーニングです。
サブ3を目指すランナーにとって、スタミナアップと過酷なレースに負けない強靭な筋肉づくりは欠かせません。
LSDはこうした記録短縮のためのスタミナアップ、筋肉強化に大きな効果を発揮します。
もちろんインターバルトレーニングやスプリント、ビルドアップ走など、記録向上を目的としたトレーニングの選択肢は、中上級者になるとたくさんあるでしょう。
しかしトップアスリートでもLSDに取り組んでいるランナーはたくさんいます。
中上級者といえどもLSDは大切なトレーニングなのです。
LSDの練習方法
では具体的なLSDの練習方法について説明しましょう。
ペースは1km7~9分
まず大切なのはランのペース。だいたい1kmを7~9分ぐらいで走りましょう。
初心者ランナーでしたら、おしゃべりしながら走れるペースでいいでしょう。中上級者にとってもジョギング程度のゆっくりしたペースが最適です。
初心者は30分からはじめて徐々に時間を延ばす
時間は初心者の場合、まず30分を目標にしましょう。苦しいようでしたら途中で歩いてもかまいません。
友達と一緒に楽しくおしゃべりしながら走れれば、いつの間にか30分ぐらい過ぎてしまいます。
30分を完走できたら次は40分、さらに50分と徐々に時間を長くしましょう。どんどん自信がついてきます。
距離を目安にする方法でも大丈夫
慣れてくれば、時間ではなく距離を目安にする方法もあります。
10km走ってみようとか、来週は会社まで走ってみようなどと、目標を設定してランニングするのも楽しいものです。
私の友人に、週に1回恋人の家まで走っていた人がいました。これって走りながらワクワクしたんじゃないでしょうか。
ベタ足は要注意!長時間走るので正しいフォームを意識しよう
LSDを実施するときには、フォームに気をつけましょう。
特に注意したいのは接地時間。
ゆっくり走っていると足の裏全体でベタベタと走るような、いわゆるベタ足になりがちです。
これではLSDをすればするほど悪いフォームになってしまいます。
脚にも負担がかかりますし疲労も倍増、ケガもしやすくなるでしょう。
ペースはゆっくりでもベタ足にならないよう、着地時間を短くするように心がけましょう。
ゆっくり走っていると腰が引け、からだ全体が突っ立ったような感じになりがちです。
記録向上のためには常に前へ前へを意識したフォームで走ることが大切。
斜め前方(上方)から頭が細いひもで引っ張られるような気持ち、腰を引かないように体幹全体をやや前へ倒していくような感じで走るようにしましょう。
実際のレースのつもりで、実戦と同じフォームで走ることが理想です。
長時間のLSDだからこそ正しいフォームで走れるようにしましょう。
スピードトレーニングとLSDをバランス良く実施しましょう
レースに取り組もうとしている中上級者のランナーは、LSDばかりをしていると、ゆっくりとしたペースが染みつき、スピードを出しにくい体質になってしまう可能性が指摘されています。
理想的には数回のトレーニングをしたら1回LSDを入れれば十分だと言われています。
中上級者の皆さんはLSDだけでなく、スピードトレーニングも入れるようにしましょう。
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- 株式会社ケッズトレーナー
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株式会社ケッズトレーナーは、一般の方々や多くのスポーツ選手の皆さんに、種々の障害の緩和や機能改善・向上を目的として、様々な角度から施術を実施しています。一人ひとりの患者様と寄り添い、スポーツマッサージを通して安心・笑顔・元気をモットーに日本全国で活躍中です。
http://www.ks-trainer.co.jp/
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